こんにちは! デリック歯科、歯科医師の大野です。

新型コロナウイルスが猛威をふるって、毎日心配なニュースばかりですね。

人口比から考えると、札幌市の感染者数を東京都の人口に換算すると日々1000人超えの数値を示しているとのことで驚愕です。

私の周りでも、マスク、手洗い・うがい、帰宅後の持ち物の消毒も行い、とても気を付けて対策をしている人ばかりで、これ以上何をすればいいのかと悩みつつ、免疫力をあげるために、美味しいものを食べて休息もとりながらたくさん笑って楽しく過ごすことが一番だね、と話しています。

私も大好きな旅行ができる日を楽しみに、国内国外の旅行ガイドブックを買いました。 大好きな地の風景やお店を見ていると、とても幸せな気持ちになり癒されました!

さて、今日は、歯科の分野からコロナウイルス対策にお役に立てるお話がないかと考え、今更ながらですが書きたいと思います。

ウイルス感染予防には、「お口の中を健康に保つこと」がとても大切になっています。

口腔ケアが不十分だと、プラーク(歯垢)が蓄積し、むし歯や歯周病の原因になることはよく知られていますが、実はこのプラーク内の細菌から、ウイルス性感染症に影響を与える、「プロテアーゼ」と「ノイラミニダーゼ」の2つの酵素が生成されます。

「プロテアーゼ」は、ウイルスを気道の粘膜から細菌に侵入しやすくする作用をもっています。 「ノイラミニダーゼ」は細菌内のウイルスを細胞外に拡散、繁殖させ感染を拡大する作用をもっています。

そのため、しっかり歯が磨けていない、むし歯や歯周病が治っていない、といった状態を続けてしまい口の中の衛生状態が悪化すると、口腔内の細菌の数が増えてしまいます。

そうなると、免疫力が低下したり、細菌による炎症を併発する結果、ウイルス性肺炎が重症化する傾向があります。

すでに喘息や肺炎にかかっている方は症状がさらに悪化しやすくなります。

新型コロナウイルスは、口の中に入ると、レセプターと呼ばれる鍵穴のようなところまでカギが入るようにくっついて感染していきます。

このレセプター(ACE2)は舌の粘膜の上に豊富にあり、そのため経口感染には気を付けなくてはなりません。

とりわけ、新型コロナウイルス感染で重症化しやすいとされる、高齢者や糖尿病、喘息などの基礎疾患をお持ちの方は、口の中の衛生状態に細心の注意が必要です。

では、口の中の細菌数を増やさないようにコントロールするにはどうようなことをすればよいのでしょうか。

それにはまず、一人一人のホームケアがとても有効です。

丁寧なブラッシングはもちろん、舌磨き、歯周ポケットまでフロスでしっかりと清掃すること、さらに義歯やマウスピースなどをお使いの方はきれいに洗浄することなど、基本的なケアの積み重ねが極めて大切になります。

そして、ご自身で行うブラッシングの仕上がりには限界がありますので、歯科医院での徹底した口腔ケアも必要です。

口の中の状態をしっかりとチェックし、行き届いていないところをケアすることができます。

歯科衛生士による専門的口腔ケアは、ご自身だけで口腔ケアをしたケースに比べ、口腔内の細菌が大幅に減り、プロテアーゼとノイラミニダーゼの生成が大きく低下していることが明らかになっています。

研究では、歯科衛生士による専門的口腔ケアを受けた人のインフルエンザの発症率は、本人だけの口腔ケアに比べて10分の1になることが証明されていますので、新型コロナウイルスに対しても同様の効果があると期待されています。

さらに、もう一つ大切なのが「咀嚼と栄養」です。 咀嚼機能は免疫力をおとさないためにとても大切です。

例えば、入れ歯が合わないから使わないままでいる、むし歯や歯周病がひどくあまりしっかり食べられない、といったように、咀嚼が不十分になっている人は要注意です。

咀嚼機能が低い状態が長期間続くと、柔らかい食事が常態化しやすく、それらの多くは糖質に偏った食材です。

それらは、ブドウ糖の摂取量を上げるので糖尿病のリスクを高めることにもつながります。

また、咀嚼を要求される肉類の摂取が減ってしまうと、タンパク質低栄養が進行し、血中アルブミンが低下していまい、その結果免疫力の低下を招くことになるのです。

低栄養化によって免疫力が落ちれば、新型コロナウイルス感染症の重症化につながる恐れがあり、死亡率が上昇するリスクも高まると考えられます。

これらのことから、むし歯や歯周病、義歯の調子が悪い方は、決して放置しないで、歯科医院受診をお勧めいたします。

また、より良い状態を保っていただくために、定期的な口腔ケアを受けたり、歯周病治療を継続していただきたいと思います。

外出自粛の状態の中、歯科医院にかかることを不安に思われる方も多くいらっしゃると思います。

デリック歯科では、感染防御のプロとして徹底した感染予防体制を実施しておりますので、ぜひ安心して受診していただきたく思っています。

お口の中のこと、歯科受診のことなど、ご不安なことがありましたら、お気軽にデリック歯科にご相談ください。

投稿者: デリック歯科