こんにちは。デリック歯科、歯科医師の大野です。

2021年が始まり、早くも1か月過ぎようとしています。

本格的な寒さ厳しい毎日ですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

真っ白な雪景色も素敵ですが、そろそろ暖かい春が待ち遠しくなってきますね。

例年、新年に家族と一年の目標やお楽しみ計画をたてるのですが、このご時世なので、健康が第一だねということになりました。

「コロナが終息したらやりたいことリスト」も作りましたが、山ほどあって書ききれなくなりました。

早く会いたい人達にいつでもどこでも会える日が来てほしいなと心から思っています。

さて今回は、非歯原性歯痛についてお話したいと思います。

歯科医院を受診される動機の最も多いものは「痛み」と思われます。

患者さんは、お口の中や周囲に起こる激しい痛みは一刻も早く取り除いてほしいと思い、たとえ軽い痛みであっても不安になって来院されることと思います。

これらの痛みの多くは、歯が原因となる歯痛であり、「歯原性歯痛」と呼ばれます。

歯原性歯痛は、歯の中の神経(歯髄)や、歯の周りの歯を支える組織(歯周組織)が原因となる痛みであり、歯科医師による歯の治療によっておさまる痛みです。

痛みにお困りの患者さんは、歯の治療が必ず必要だと思われ受診されることと思いますが、必ずしもそうではないことがあり、それが「非歯原性歯痛」です。

「非歯原性歯痛」は様々な症状がでますが、代表的なのものは以下のようなものです。

・鈍い痛みがずっと続いているが、その歯をたたいても何をしても痛みはでない。

・だいぶ前に歯を抜いて傷は良くなっているのに、もう無いはずの歯が痛い気がする。

・目がチカチカして、頭痛がする時に歯も痛くなる。

・目の奥の猛烈な痛み、涙や鼻水が出て、歯も痛くなる。

・鼻が詰まっている感じがして、同じ側の上の奥歯が痛くなる。

・胸が痛くなると、歯も痛くなる。

以下に「非歯原性歯痛」の分類をご紹介いたします

①筋・筋膜性歯痛

非歯原性歯痛全体の50%程度を占めます。

くいしばりや歯ぎしりなどにより、頬の筋肉やこめかみの筋肉などが慢性的に疲労して、筋肉のコリが進んで痛みが出るようになると、離れたところにある歯に痛みを感じるというものです。

場合によっては、首や肩の筋肉に関連して歯痛が生じることもあります。

最も大きな特徴は、痛い筋肉を指で強く押すと、筋の痛みとともに歯の痛みが生じることが特徴で、痛みが生じやすいのは、主に上下の奥歯です。

どちらかというと、漠然とした痛みが多く、一日中痛む方もいれば、痛みがでたり引っ込んだりする方もいます。

顎を動かす筋肉を酷使した結果おこる症状ですので、筋肉のストレッチやマッサージにより筋の血流を良くしてコリを解消していくことで痛みが緩和します。

急性であれば、消炎鎮痛剤を服用することもあります。

②三叉神経痛

頭部の神経を支配している三叉神経の神経痛です。

上顎の犬歯や下顎の奥歯付近に痛みを感じることが多く、「ツーンとする」「瞬間的に電気が走り抜けるよう」な痛みと表現される秒単位の電撃様疼痛です。

痛みは瞬間的で長くは続きません。

激しい痛みとなる前に「歯がしみる」などの普通の歯痛が感じられることもあります。

通常50歳以上で発症し、鼻の脇等、痛みを誘発する特定の部位(トリガーゾーン)があることが多く、洗顔、髭剃り、歯磨きに支障をきたすことがあります。

また、発作と発作の間には、全く痛みがでないことも特徴です。

抗てんかん薬のカルバマゼピン(テグレトール)が特効的に奏効します。

③帯状疱疹性歯痛

神経節と呼ばれる部位に潜伏していた帯状疱疹ウイルスの感染症です。

難治性歯痛のひとつと言われています。

急性期は神経の走行に一致した部位に水泡形成や知覚鈍麻が生じ、この時ウイルスの進行に伴い、激しい歯痛が生じます。

痛みは1日中持続し、痛みで夜も眠れない状況になります。

粘膜に生じた水泡や皮膚に生じた皮疹は徐々に治癒していきますが、慢性期になると神経痛のような痛みが残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛といいます。

抗ウイルス薬のバルトレックス等が奏効します。

④神経血管性歯痛

片頭痛や群発頭痛の症状の一つとして歯痛が生じることがわかっています。

頭痛による関連痛で、お口やその周囲に生じる最も一般的な神経血管性頭痛は片頭痛です。

痛みは歯の神経の炎症(歯髄炎)と大変似ているため鑑別が難しい歯痛の1つです。

⑤心臓性歯痛

狭心症や心筋梗塞などの疾患に関連した歯痛が数多く報告されています。

痛みは発作性に生じ、特に運動により歯痛が生じるといった、運動との相関関係が認められます。

⑥上顎洞性歯痛

上顎洞とは副鼻腔のひとつで、左右の上あご、主に奥歯の上にある骨の空洞です。

この上顎洞の疾患で歯痛を生じることがあり、これを上顎洞性歯痛と言います。

副鼻腔は風邪などにより炎症を起こすことがあります。

以上、簡単にまとめましたが、多くの原因により「歯が原因でない痛み=非歯原性歯痛」が生じます。

治療を続けても歯の痛みが変わらないようなときや、先に書いたような症状があるときには、歯科医師に歯の痛みだけではなく、全ての症状をお伝えご相談ください。

また、一般歯科で対応できない分野は、専門医を紹介したり、頭痛や心疾患などが疑われる場合には医科の専門医にご紹介いたします。

気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

投稿者: デリック歯科