妊婦さんの口腔環境の変化と歯科治療
こんにちは! デリック歯科、歯科医師の大野です。
朝夕はずいぶん涼しくなり、日に日に秋が深まってきましたね。
食欲の秋、スポーツの秋、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
お店には、美味しそうな筋子が並んでいて、いくらを作ろうかどうか悩みましたが、まだ小さめな粒でお値段も高めだったので、もう少し待つことにしました!
秋は美味しい誘惑がたくさんで幸せですよね。
さて、デリック歯科にも多くの妊婦さんが患者さんとしていらっしゃいます。
今日は妊婦さんの口腔環境の変化と歯科治療についてお話しようと思います。
妊娠の特徴的な症状として「つわり」があり、妊娠初期の5週頃から現れ、だいたい16週までには消失します。
つわりの症状は様々ですが、ブラッシング時の悪心や嘔吐で、口腔清掃が十分にできなかったり、食事の嗜好の変化、食事や間食を少しずつ頻回にとることもあるため、口腔内は酸性になり口腔環境を悪化させます。
さらに、女性ホルモンのバランス変化の影響で、微小血管の拡張と透過性が亢進し、歯肉の腫脹と出血がみられる「妊娠性歯肉炎」が起こります。
さらに、重度な歯周炎では、血液中のサイトカインやプロスタグランジン濃度の上昇により子宮が収縮し、出産が促進され、早産や低出生体重児のリスクを高めることが報告されています。
妊婦さんの口腔環境を整えることがとても大切である理由がもう一つあります。
それは、むし歯菌の母子伝播です。
母子伝播とは、むし歯の原因菌であるミュータンス菌が食具や離乳食の口移しなどによって、お母さんから赤ちゃんに感染することです。
このミュータンス菌の母子伝播も、妊娠中からの口腔環境を整えることによって生まれてくる赤ちゃんの口腔内へのミュータンス菌の定着時期の遅延や量の低下を促すことが報告されています。
生まれてくる赤ちゃんが健康な歯を得るためには、胎生期から歯のもととなる細胞が形成されているので、お母さんが栄養バランスのとれた食事を摂取することが必要です。
また、生まれてきた後、お母さんの口にいれた食具を赤ちゃんの口に入れたりすることで、ミュータンス菌の母子伝播が起こるので注意が必要です。
このように、赤ちゃんがマイナス1歳からの口腔ケア、すなわち妊婦さんの口腔ケアがとても大切になります。
まずは、体調の良い時間にリラックスできる環境で小さめの歯ブラシを使ってブラッシングをしてみてください。 それが無理でしたら、食後の強めのうがい、さらには専門的な口腔ケアが必要になります。
本来であれば、妊娠前に口腔環境を整えることが理想ではありますが、妊娠中期(妊娠16~27週)は妊婦さんが健康であれば、外科処置を含む通常の歯科治療を行うことも可能です。
生まれてくる赤ちゃんの健康のためにも、妊婦さんの口腔環境を整えていきましょう。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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